- 2018/06/28
- writer: Moto
手で糸を紡ぐこと
出張先・カシミールから
おはようございます。
Natural LoungeのMotoです。
連日のカシミールネタにもしかしたら
飽きていていませんか?笑
ただ、そうそう見ることのできない
カシミールの職人の技を今日から何回かに分けて
ご紹介したいと思いますので、もう少しお付き合いください!笑
ちなみに、僕たちは今まで織物関連の文献をたくさん読んできました。
長野県には日本に唯一の繊維学部がある信州大学があり
大学の図書館へも通わせてもらい貴重な本を調べさせてもらったこともあります。
そして、自分達でカシミール織物の専門書を購入もしていますが
なんと言っても高いんです。金額が・・笑
そして両者ともに共通していたのが
書いてある言葉が難しくなかなかイメージができないという。涙
僕みたいに字から情報を取り込むのが苦手なタイプにとってはちょっと厳しかったわけですね。
じゃあどおすればいいのか。
そう!百聞は一見に如かず!ですね。
馬鹿は行動しろってやつです。笑
もちろんインターネットに写真付きで
詳しく載っていることもまずないので
ぜひこの機会をお見逃しなく!
それでは早速いきますね ♪
カシミールに来て4日目、ようやく生産者を訪ねることができました。
そしてまず訪れたのが、織物にとってなくてはならない " 糸 " を作る生産者さんです。
Natural Loungeでは、手織りカシミアストールを販売していますが
その糸は全て現地の女性が手で糸を紡いだもの。
今の時代、手で糸を撚るなんて根気のいる手仕事は
世界中を見てもほとんど残っていません。
きっと糸をどうやって撚るのかわかならない人の方が
多いのではないかと思います。
そんな手仕事をちょっと覗いてみましょう。
生産者の家を訪問すると早速家の中にある一室に案内されました。
するとそこでは既に糸を撚る女性の姿が。
久々の光景に笑みが止まりません。笑
糸車を右手で回しながら
左手で器用に糸を伸ばしていく繊細な仕事。
貴重な映像です。
今回協力してくれたこちらの女性は88歳のセダさん。
糸作り歴75年の大ベテランです。
話しながら笑顔で簡単そうに糸を紡いでいましたが
まず両方の手が違う動きをしているということ。
そして、左手は糸に強度を与えるために捻りながら糸を伸ばしています。
もう体に染み込んでいるんですね。
ちなみにこの器に入った原毛を糸にしています。
そしてこの原毛は、これまでもお伝えしてきた
インドラダック産の最高品質カシミアです。
以前僕が訪ねた生産者のヤギと同じ場所で採れた毛ですね。
ヒマラヤ山脈の麓、標高4000m以上、
冬場の気温がマイナス30度以下の大自然でしか育たない貴重なカシミア原毛です。
最初にこの原毛を櫛に通して絡みを解きます。
繊細な毛のため丁寧に優しく扱います。
そして解いた原毛を指に挟みながら糸にしていきます。
紡ぐ原毛の量によっては糸が太くも細くもなってしまう難しい作業ですが
均一に糸を伸ばしていく技術はさすがです。
そして撚った糸を糸車を回しながらボビンへ巻いていきます。
手元からボビンへ伸びる糸の細さ。
本当に素晴らしいです。
こうして見ても、そして実際に見ていてもシンプルな工程ですが
高い技術がこの工程に凝縮されています。
先ほども言いましたが、糸に強度を出すために捻りながら
尚且つ同じ太さに仕上げるのは相当な経験が必要です。
この糸にばらつきがあると、実際に織った時の見た目もそうですが
肌触りも全く違ってきます。
この後、この糸を使って機織り職人が実際に織るわけですが
もちろんどの職人も太さ、撚りの強さが均一な糸が欲しいわけで
ここが糸づくりの重要なポイントです。
そして、このボビンに巻いた糸は
シャトルにセットされて次工程、機織り工程へ進みます。
こうして手紡ぎの糸は作られます。
しかし、実際に見ていても作業スピードが早すぎて
どうやって撚っているのか全く見えませんでした。苦笑
セダさんに何度も止まってもらってなんとか撮影できた写真。笑
あなたに伝わっていることを願います。
そして、嬉しかったのが本当に大切に原毛を扱っているということ。
カシミア原毛の生産者は1年もかけて過酷な環境で愛情を込めて少量のカシミア原毛を育てます。
そんな生産者の姿を見てきただけに、
丁寧に扱うセダさんを見てより嬉しい気持ちになりました。
原毛を育てるのに1年。
そしてようやく糸になりました。
織物になるまでまだまだ時間はかかります。
それでは今日も1日頑張りましょう!
コメント
「手で糸を紡ぐこと」への5件のフィードバック
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Profile
Moto
1983年長野県生まれ。木曽在住。
Natural Lounge副代表、バイヤー。
気がつけばストールの奥深さに魅了され、世界中のストールを探している。
様々な国のストールを扱う中で、誰が、どんな場所で、どのように作っているのか、
現地訪問し生産者と直接対話して買付をするのがモットー。
特にインド人、イタリア人との相性は抜群。
趣味は地元である木曽で、キノコ採りや山菜採り、渓流釣りをして四季を満喫すること。
20代、30代と海外の様々な場所を訪れた経験から、今は地元に魅力を感じ地域の活動にも力を入れている。
あなたがつい”クスッ”と笑ってリラックスできるようなブログをお届けしたいと思っています。
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様々な国のストールを扱う中で、誰が、どんな場所で、どのように作っているのか、
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特にインド人、イタリア人との相性は抜群。
趣味は地元である木曽で、キノコ採りや山菜採り、渓流釣りをして四季を満喫すること。
20代、30代と海外の様々な場所を訪れた経験から、今は地元に魅力を感じ地域の活動にも力を入れている。
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カシミア原毛の繊維は短いのですね。山羊の下毛を梳いて、1頭からわずか150〜250g?でしたか? カゴの中の原毛を見て、本当に少ししか取れないのだという実感が湧きました。以前日本でいうカシミアはフェルト化された厚いものでしたから、手織り手紡ぎの薄さは初めは驚きでした。でもあの熟練したお婆さんの手でそんな細い均一な糸が紡がれていることを目の当たりにすると感動します。インドの染織の歴史はすごいですね。
あの原毛は白でしたし、Motoさんが訪ねて抱き上げていた山羊も白でしたが、山羊の毛の色は白の他にグレーと茶色があるそうですが、この3色の比率はどのくらいなのでしょうか。ホワイトカシミアは中でもさらに希少なのですか? 個人的には生成り色大好き!ですが、グレーや茶色も良い色だつたので、ちょっと興味があります。おついでがあれば教えてください。
ボビンとありましたが、眠り姫の挿絵で見て、ただの糸巻きかと思っていたものが杼にセットされているのも見られて、なるほどと納得したことも収穫です。
シュリナガルの湖なのでしょうか、涼しそうな景色ですね。体調気をつけて良い買い付けを!
NO
NOさん、コメントありがとうございます。
カシミア原毛の繊維は細くて短いです。
おっしゃるように個体ごとで採れる原毛の量は異なりますが、1頭から採毛できる原毛は約200gと非常に貴重です。
外毛は結構太いですがストールに使用される原毛は内毛のみなので、やはりその位になってしまうんですね。
そして、糸紡ぎを見て喜んでいただけて嬉しいです。本当に素晴らしい手仕事なんですよね。
左手の指に挟んだ原毛から、細い糸が生まれる光景は魔法を見ているようでした。笑
原毛もNOさんのおっしゃるように、ホワイト、ブラウン、グレー、があります。僕が現地で調べたところ、
ホワイトの需要が多いためどの生産者もホワイトの原毛をできるだけ生産するようにヤギを飼育しているとのことでした。
ただ、最近は政府もカシミア原毛の生産に力を入れていてホワイトのカシミア山羊だけを飼育するということもしています。
そうなるとグレーやブラウンの方が希少性は高いのかな??笑
ちょっと細かい比率まではわからくすみません。
デリーが本当に暑いので、シュリナガルの気候は最高です。
最終日にはきっとデリーに戻るのが嫌になっていると思います。笑
いつもありがとうございます。
Moto
Motoさんのインド買い付け報告はいつも楽しみですが、今回は「手紡ぎ手織りの技術を少しでも知って欲しい!」というMotoさんの思いが伝わってきましたよ。
ふと思ったのですが、動画があれば、もっともっとその素晴しさが伝わるような気がしますが、いかがでしょうか?もしかして、作業が手早すぎて動画で見ても分からないとか。かしら?
コメントありがとうございます!
またいつもメルマガを読んでいただきありがとうございます。
そして手紡ぎの技術も伝わったと言っていただけて嬉しいです。
動画は山崎とも話していて検討中です。
今後動画もアップできるようにしていきたいと思います!
(ちょっとすぐにはできなさそうですが・・・)
アドバイスありがとうございます (^^)!
Moto
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