- 2019/12/11
- writer: 山崎拓
つ、つ、つ、ついに・・・
「今日はカシミヤのストールを見せてもらっていいですか?」
そう言ってご来店くださったのはある常連さん(Yさん)
Yさんはお店がある松本の方なのですが、元々はインターネット通販で当店を利用してくださっていました。
でも使っているうちに実店舗が職場に近いということが判明したらしく 笑
前回から松本のお店も利用してくださるようになりました。
そして、今回はカシミヤの手織り手刺繍のものを見てみたい!
ということでご来店くださったんです。
この日ご来店くださった時には一枚、ある手刺繍のストールをインターネットでチェックしてくださっていました。
そのストールがこちら。
深みのあるブラックベースの生地に施されたニードル手刺繍のコントラストが美しい一枚。
全面総刺繍ですが、刺繍の密度のバランスが良く、サイズも通常時の大判タイプなのでとても軽く、扱いやすい!
もちろん、羽織った時はパッとシックでエレガントな印象に変化します。
そして、実店舗の良いところはやっぱり実際に試せるところ!
ということで、こちらも一度羽織っていただきました。
そしたら、普通に良い!!
「素敵ですね!!」
普段はあまり感情を出しすぎることのない僕ですが、ついつい声が大きくなってしまいます 笑
とはいえ、せっかく来ていただいたのだから、ほかのストールも見ていただきたい!
ということでいくつかのストールをご覧いただきました。
そして、やっぱりカシミヤ手刺繍ストールといえば、大判のストールサイズももちろんですが、サイズの大きなショールサイズのタイプも外せません。
特にショールには熟練した職人の中でもさらに技術の高いマスタークラスの職人しか刺繍を施すことができません。
(そもそも生地が希少なので、その希少な生地には最高級の手刺繍でないと価値のバランスが取れないんですね)
ですので、個人的にオススメのこちらの2枚のストールをYさんにもご覧いただいたんですね。
そしたら、Yさんの反応が
素敵!
本当にすごい!!
はーーー・・・(感動のため息)
見ているこちらが嬉しくなるようなリアクションをしてくださいます 笑
ぜひ一度こちらのストールも試してみてください!
とオススメさせていただき、実際に羽織っていただくと、、、
うわーーー!
綺麗ですね!!
素敵です!!!
なんだかこの言葉だけ見ると胡散臭い販売員のようですが 笑
でも、これは間違いなく心の底から出た言葉です。
本当に似合っていました。
ただ、困ったことに先ほどのブラックベースのストールを含め、3枚ともどれも違った印象ながらそれぞれがとてもよく似合っていたんです。
ブラックはシックでエレガント。
ローズグレイは洗練された大人の落ち着き感を感じさせます。
ホフホワイトは華やかで上品。
特にYさんは平均的な女性の身長よりも少しだけ高い方なので、ショールを羽織った時の雰囲気が抜群!!
(背の低い方だとショールの場合、面積が大きいため巻かれてしまうような印象になってしまうこともあり、ここは注意が必要なんです)
何度か代わる代わる試していただきましたが、僕の中では3枚の中では2枚のショールがとても着映えていると感じましたし、特に似合っていたと感じたのはオフホワイトのものだったんです。
ただ、一番お値段が張るのもホフホワイトのもの。
これは当初のYさんの予定では完全に予算オーバー・・・
なので、「お似合いだし、これは間違いない!!」とは思いつつも、そこまでゴリ押しはできません。
それでも、やっぱりこれはプロとして良いと確信したものは責任を持ってしっかり価値をお伝えしよう!!と今までにないくらい熱を込めてしっかりとこのストールについての説明をさせていただきました。
ご来店いただいてから2時間ほど経ったでしょうか?
Yさんがこうおっしゃったんです。
「清水の舞台から飛び降ります!これにします!!」
あー、よかった!!
本当にありがとうございます!!!
こうして、ついにこのショールもお嫁に行きました。
さっきまでは全力でオススメをしていたのですが、こうして実際に手元から離れることが決定すると、途端に寂しさが出てきます。
あー、これでこのストールを見るのも最後かもしれない・・・
こんなことを考えながら最後のお引き渡しの包装をさせていただきました。
ただ、これだけ思い入れのある一枚だったので、前々からいろいろなアングルで写真を撮り溜めておきました。
ストール単品はもちろん、ロケ撮影でも季節をまたいで使わせていただきましたし、来年のHPのリニューアル時にもこの写真を使う予定です。
なので、現物は見れなくなってしまいますが、少なくとも写真を見て思い出すことはできます。
(ちょっと女々しいですけど 泣)
今までもこのストールに関してはブログでも何度かご紹介させていただいていますし、僕もMotoも代わる代わる何度もブログネタとして使ったことがあるので、一度は見たことがある方も多いかもしれません。
それだけ、素晴らしいストールなのですが、何がそんなに素晴らしいか?
というと、、、
まずはこの生地であるカシミヤの原毛は標高4000m以上のヒマラヤ山脈の高地のみに生息しているカシミヤ山羊のものを使っています。
ちなみに標高4000mのヒマラヤ山脈というのはこんな感じです。
空気は薄くて体は重く、油断すると一瞬で高山病にもかかってしまうような過酷な環境。
こうした環境で生き抜いているカシミヤ山羊の毛はその寒さに耐えるために長年の年月をかけて進化発展してきました。
原毛は頬を埋めたくなるようなふんわりとしたやわらかさで、手を触れているだけで自然の温もりを感じることができます。
このカシミヤの産毛の部分のみを厳選してストールの生地として使っているのがこちらのストールなんです。しかもこのストールの生地は無染色のナチュラルオフホワイト。
カシミヤ山羊を実際に見ていただくとわかるのですが、毛質は山羊によっても様々ですし、色もホワイトやブラック、ブラウン、これらの混じった毛などいろいろな種類があります。
その中でもホワイトのものだけを選り分けて糸にし、一枚のストールとして作り込む、というのは大変な労力がかかります。
僕も昔自分でストールを作った経験がありますが、刈ったばかりの原毛というのは油や汚れ、埃が付いていますし、先ほどお話ししたように様々な色の毛が混じっているのでそれらを取り除いて一色の毛だけを厳選するのは本当に難しい。
ちなみに僕の場合は、挑戦したものの途中で綺麗に挫折しました 笑
その厳選に厳選を重ねたオフホワイトの原毛を贅沢にも200cm×100cmという非常に大きなショールにするためにふんだんに使い、全て手織りで仕上げていきます。
ですので、素材と生地だけでも非常に希少価値が高くなっています。
さらにその生地にインドカシミールの500年の伝統を代々受け継いだ最高クラスの熟練した職人がひと針ひと針丁寧に刺繍を施していきます。
朝から晩までひたすら刺繍をすることだけに集中します。
その作業は本当に膨大な時間と労力がかかります。
そうして出来上がった刺繍はまさに芸術品と呼ぶに相応しいクオリティー。
職人の技と魂の結晶です。
バイヤーのMotoもいつも言っていますが、これだけの高いクオリティーの刺繍ストールは現地でもそうそう見つけることができません。
さらに最近は職人の高齢化によって、こうした手刺繍はどんどん手に入りにくくなってきてしまっているのが現状です。
なので、こうしてあらためて写真を見て振り返るとやっぱり寂しさもありますが、今回Yさんに手にとっていただけて本当によかったなーと思います。
もうこのクラスのストールはそれこそ一生物。
代々娘さんやお孫さんにも受け継いでいただきたい一枚です。
Yさんの元で世代を超えてご活用いただければこんなに嬉しいことはありません。
(Yさん、あらためて本当にありがとうございます!)
今回のストールは今までの中でも本当に思い入れが強かった一枚なので、いなくなった衝撃も大きいですが 笑
次なるストールとお客さんとの出会いを繋げられるよう。
今日からまた全力で仕事に取り組んでいきます!!
コメント
「つ、つ、つ、ついに・・・」への2件のフィードバック
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Profile
山崎拓
1982年長野県生まれ。安曇野市在住。
Natural Lounge代表、ストールコンシェルジュ。
3児の父。
天然繊維100%ストールが大好きでほぼ一年中巻いている。
趣味が仕事で、休みより仕事をしているほうが楽しく落ち着くという仕事大好き人間。
情熱がある分野はビジネスや健康、教育関連。
好きなことは読書、Mr.Childrenの音楽鑑賞、家族サービス、旅行。
肌に直接身につけるものはもちろん、食べ物や生活スタイル全般を出来るだけ健康的で自然に沿ったものにできるよう日々自分自身でも様々なことを試し、顧客にもその効用を伝えている。
Natural Lounge代表、ストールコンシェルジュ。
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情熱がある分野はビジネスや健康、教育関連。
好きなことは読書、Mr.Childrenの音楽鑑賞、家族サービス、旅行。
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10年以上前の記事
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先日は大変お世話になりました。
この様にブログに載せていただき光栄です。早速保存しました(笑)
売り手側の皆さんの深い思い入れがいっぱいつまった内容のブログをおわりまで感慨深く拝見しました。
この様な素晴らしいショールは身分不相応とも思いましたが娘にも譲れるお品物ですので大切に大切にしていきます。
また素敵なお品物を紹介してください。
この度はありがとうございました。
Yさん
コメントありがとうございます!
こちらこそ、先日はありがとうございました。ブログも保存していただきありがとうございます 笑
本当に素晴らしい一枚でしたので、いつも以上に熱を込めて書いてしまいました 笑
そして、直接お話もさせていただきましたが、Yさんに本当にお似合いでした!!
ぜひぜひ色々なシーンでご活用いただければ嬉しいです!
そして、いつかは娘さんにも・・・
こちらこそ、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
いつも本当にありがとうございます!
山崎