- 2021/06/07
- writer: 山崎拓
ズバリ。学ぶべきことNo.1は?
先週、ある本について紹介させてもらいました。
このメルマガではストールの話はもちろん、プライベートの小話や個人的に大好きな本について書くこともあります。
そんな本についても自分が今まで読んでこれは素晴らしい!と思った本は今まで何冊も紹介させてもらいました。
ストール屋なんだからストールの紹介をしなさいよ!
って感じですけどね 笑
でもストールはもちろん、本も大好きなので、やっぱり本当に良いな、と感じたものについてはジャンルを問わずあなたにも知っていただきたいと思っています。
そんなこともあり、最近も一冊の本を紹介させてもらいました。
タイトルは「RANGE -知識の「幅」が最強の武器になる-」。
これはジャンルでいうと何になるんですかね?
多分、教育とか学習法とかそっちの分野になると思いますが、個人的にはこの分野も大好物♪
それにこの分野は全ての人にとって欠かすことのできない知識の一つだと思っています。
というのも、優れた教育方法や学習法を知っているかいないか、学んで実践しているかどうかによってその人の将来は相当大きく変わってくるでしょうし、周りの人への影響も教育ほどインパクトのあるものはないのではないでしょうか?
特に幼い子供達には大人である僕らの教育方針による影響は計り知れない。
こういう背景もあり、教育や学習についても人並み以上の情熱を持っている分野です。
また、これは起業する前から考えていたことですが、将来は自分が経験してきたことや学んできたことをより多くの人に教えるような仕事もしたいなーと思っています。
(これは自分がおじいちゃんになってからかもしれませんが 笑)
僕の父親も教師でしたし、弟も一時は教師の仕事をしていました。
こうした影響もあり、やっぱり教育や学習にはずっと興味がありますし、強く惹かれる分野なんですよね。
このメルマガを始めたきっかけもお客さんに少しでも役立つコンテンツを配信したいという想いから細々と始めましたが、今では3000人を超えるお客さんが毎日メルマガを読んでくださっていますし、ブログに関しては1日5000人以上という日も少なくありません。
こうなってくるとより一層配信させていただくメルマガの内容を価値あるものにしなければいけないですし、自分自身に対する学びや教育についてももっともっと強化していかなければ!と思わされます。
メルマガも8年ほど続けていますが、やっていて痛感するのは、良いアウトプットをしようと思ったら大量のインプットが欠かせない、ということ。
自分自身が常に質の高い学びを続けることでお客さんにもより良い価値を提供できると思っています。
こうした背景もあり、前回は教育や学習に関するこの本を紹介させてもらいましたが、僕自身もこの本からたくさんの学びを得ることができました。
前回のメルマガでもお話をさせていただいましたが、僕の場合は自分自身のキャリアを固めるのがかなり遅かったということもあり、早期教育が重要なんじゃないか?という考えを強く持っていました。
モーツァルトやタイガーウッズ、イチローなどのその分野の天才や超一流と呼ばれる人たちの共通点でもあります。
今まで数えきれないほど、早期教育の高い効果や様々な研究結果、幼少期から専門特化した偉大な人物についての分析結果などを見てきたので、誰だってもし自分に本当に向いていることや好きなこと、得意なことを見つけられたらそれに集中するに越したことはないだろう、と思っていたんですね。
一方で、この本は早期にキャリアを固めてしまうことのリスクについて具体的な様々な事例から紹介されていて、個人的にはとても新鮮でしたし、自分の凝り固まった信念や価値観を柔らかく柔軟にしてもらったような感覚があります 笑
特に僕は一つのことを極めたい!という職人気質もあるので、色々なことに手を出していたら大きなことや大事なことは何も成せないだろうという考えを強く持っていました。
(昔からなぜかジェネラリストよりもスペシャリストの方がかっこいい!と思い込んでいる)
でも、人生全体を長くとってみると必ずしもそうではないし、幼少期のうちに自分の道を決めてしまうことや一つのことだけしかできないというのは危険なことだ、ということにも気がつけました。
特に今のような不確実性の高い時代では一層幅広い分野の知識・経験が欠かせないということについても改めて学ぶことができたのは大きかったです。
そして、スキルや技術についての学習は、自分自身について学ぶことに比べたら些細なことだなーとも思います。
本当にやりたいこと、自分が得意なこと、大好きなこと、時間を忘れて没頭できること、あるいは他の人が見たらとても難しいことを自分は簡単にできてしまうこと、自分について学びを深め、こうしたことを時間をかけて見つけることこそ価値が高い行いだろうなーと。
極端な言い方をすれば、これを見つけるために一生をかけてもいいんじゃないか?とすら思えます。
こういう風に考えると、「もう自分はいい歳だから」「今更遅い」「自分探しなんてしている暇はない」という言い訳は全て脇に追いやる必要があるかもしれません。
最近はお客さんからも自分のやりたいことを見つけて新しい仕事を始めたとか、60代にしてキャリアを変えたとか、定年後に起業した、というお話も多く聞くようになりました。
こうした話を聞いていても、本当に何かを始めるのには遅いということはないと思いますし、今までたくさんの経験をしてきている人こそ、本当に自分がやりたいことや自分に合っていること、自分自身の強みを見つけられたときのインパクトは大きいと思います。
僕自身もそうでしたが、子供の頃や学生の頃に自分が本当にやりたいことや得意なことを明確にするのってめちゃくちゃ難しいと思います 汗
(もちろん、それができた人は羨ましい限り!)
学生の頃は夢とか将来の目標とか全く持っていませんでしたからね・・・
今回紹介した本にも「様々な分野の探索は贅沢ではなく教育の中心的な役割」という一文がありましたが、本当にそうだなーと。
最後に、今回ご紹介した本からこうしたことを見つけるヒントになる内容について紹介させていただき、今日のメルマガを終えたいと思います。
RANGE -知識の「幅」が最強の武器になる-」デイビッド・エプスタイン著より抜粋
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「あなたのレンジを広げよう」
トップクラスのスポーツ選手に育った人たちも、大抵は一つのスポーツに早くから特化していたわけではない。
データがそれを示している。
そのことを、私が話したり書いたりし始めた時、聴衆の反応(特に子供を持つ人たちからの)はだいたい次の通りだった。
・「そんなわけない」と言って単純に信じない
・「じゃあどうすればいいのか、一言でアドバイスして欲しい」と求める
ファン・ゴッホやアンドレ・ガイムやフランシス・ヘッセルバインのように、自分にとって最適な場所にたどり着きたいなら、実験の旅にでなければならない。
そのことと、幅(レンジ)を持つことを一言のアドバイスに入れ込むとしたらどう言えばいいだろう。
この3人が歩んできた道のりのように、専門特化とレンジについての私の探究も非効率で、一言のアドバイスを見つけようと思って始めたことが、この一冊の本になった。
メディアで語られるイノベーションや自己発見のストーリーは、A地点からB地点までのシンプルな道筋のように聞こえる。
例えば、何らかのインスピレーションを受けてトップアスリートへの道を歩んできた、といった単純明快な説明だ。
しかし、そのストーリーも時間をかけて深く掘り下げてみるとだんだん曖昧になっていく。
タイガーウッズ型の道筋には、寄り道や、幅や、実験はほとんど存在しない。
タイガーの育て方が人気なのは、そのやり方がシンプルで、不確実性が低く、効率が良いからだ。
それに、誰もがタイガーのように他人に先んじたい。
これに対して、実験を続ける道筋はシンプルなものではない。
しかし、それは多くの人が歩む道で、得るものも多い。
ただし、よく言われる「失敗に負けない力」以上のものが求められる。
実験の中で生まれるブレークスルーには大きな振れ幅がつきものだからだ。
ディーン・キース・サイモントンのクリエイティビティーの研究によると、優れたクリエイターは、生み出す作品が多ければ多いほど失敗作が増えて行き、同時に画期的な作品を生み出す可能性も高まる。
トーマスエジソンは1000件以上の特許を持っているが、大半は取るに足らないもので、却下されたアイディアはもっとあった。
エジソンは数多くの失敗をしたが、大成功した発明には、電球、蓄音機、映写機の前身などがあり、どれも世界に衝撃を与えた。
シェイクスピアには「リア王」や「マクベス」などの作品もあるが、「アテネのタイモン生涯」など、あまり評価されていない作品もある。
彫刻家のレイチェル・ホワイトリードは、ガイムがノーベル賞とイグノーベル賞の両方を受賞したのと似たような偉業を達成した。
その年の最も優れたイギリスの芸術作品に送られるターナー賞を受賞し、またイギリスで最悪の芸術家にも贈られるアンチ・ターナー賞も受賞したのだ。
それも同じ年の受賞だった。
そして、任天堂について書くためにビデオゲームの歴史を調べていた時、私はハワード・スコット・ワーショウという、現在は心理療法士として働く人物を知った。
ワーショウは以前アタリのゲーム・デザイナーで、とても制約の多い技術を要領よく使って、「ヤーの復讐」というゲームを製作した。
これはゲーム機「アタリ2600」向けのオリジナルタイトルとしては1980年代前半で最もよく売れた。
当時アタリはアメリカで急成長している企業だった。
それとまさに同じ年、ワーショウは映画「E.T」のゲーム版を制作した。
その時もワーショウは限られた技術で実験をした。
しかし、このゲームはビデオゲーム史上最大の商業的失敗とまで言われ、アタリの突然の崩壊の原因となったとも言われている。
シンプルでない実験の旅はこんな感じだ。
独創的なクリエーターは何度も三振をするが、大きな満塁ホームランも打つ。
ただし、野球の例えは正確ではない。
ビジネス・ライターのマイケル・シモンズによると「野球の結果は切れた分布になっている。バットを振ってどんなに当たりが良くても得られる最大の得点4点だ」
しかし、広い世界では「打席に立てば、時に1000点を叩き出すことがある」
だからと言って、ブレークスルーが運だということではない。
運も助けになるが、ブレークスルーはむしろ困難で一貫性のないものと捉えられる。
誰も経験がないことをするのは、意地悪な問題に向かい合うことであり、公式もなく、完璧なフィードバックの仕組みもない。
実験の旅は株式市場のようなものだ。
天井知らずの値上がりを狙うのであれば、安値の時期にも耐えなければならない。
インセンティブの創業者、アルフ・ビンガムが言ったように「ブレークスルーと誤った考えは、最初はよく似ている」
私が探求しようと決めた問いは「超専門特化がますます求められ、また自分が本当にやりたいことがわからないうちに何になるかを決めなければならない中で、幅(レンジ)や多様な経験や領域横断的な探求をどうやって実現するのか」ということだ。
本書の最初の方で、スポーツ選手や音楽家について書いた。
というもの、彼らは早期の専門特化を象徴する存在だからだ。
しかし、トップ選手になった人たちも、実は最初の頃に幅広い経験を積んでいて、後から専門を決めるのが一般的だった。
偉大な音楽家は驚くほど多様な道筋をたどっているが、能力を育てる上で早期の超専門特化は必要ではなく、即興演奏をする音楽ではむしろそれは稀だった。
それでも、多くの大人が金儲けのために、音楽でもスポーツでも、なるべく早く専門特化することが不可欠だと思わせるようにしている。
20世紀で最も優れたピアニストの一人と言われているスヴァトスラフ・リヒテルが、初めて正式なレッスンを受けたのは22歳の時だった。
スティーブ・ナッシュはカナダ人としてはまあまあ平均的な体格で、バスケットボールを始めたのは13歳の時だったが、NBAのMVPを2回獲得している。
私が今この原稿を書きながら演奏を聞いているプロのバイオニストは、18歳の時に習い始めた。
始める前には「遅すぎるからやめておけ」と言われたという。
彼女は今、大人の初心者の指導を大切にしている。
つまりシンプルな専門特化のストーリーは、こうした比較的親切な領域でも、そんなにピッタリ当てはまるものではない。
では、そろそろ一言でアドバイスをしよう。
それは「後れを取ったと思わないこと」だ。
ローマ時代の二人の歴史家の記録によると、ユリウス・カサエルは若かった頃、アレキサンダー大王の像を見て泣き崩れたという。
「アレキサンダー大王は、現在の私の年齢の頃、多くの国々を征服していたのに、私は記録に残るようなことを何もしていない」
しかし、やがてその悩みも遠い記憶となった。
カサエルはローマを手中に収めた。そして、終身独裁官になった後、仲間達に殺された。
アレキサンダー大王は、ハイライト映像に登場するような少年スポーツ選手と同じように、早くピークに達したと言っていいだろう。
自分を誰かと比べるなら、自分より若い他人ではなく、自分自身と比べよう。
成長のスピードは人それぞれであり、ほかの人を見て後れを取ったと思わないことだ。
あなたはおそらく、自分がどこに行こうとしているのかまだわかっていないだろう。
だから遅れをとったと思っても、なんの助けにもならない。
ミケランジェロが大理石の塊に取り組んだように、あなたも自分だけの旅やプロジェクトに取り組もう。
その過程では、意欲を持って学び、道を進む中で順応して、時にはそれまでの目標を捨てる。
完全に方向を変えることにも躊躇しない。
技術イノベーションからコミック本まで、様々な領域のクリエーターを対象にした研究によると、多様な経験を持つ個人は専門家のグループよりも創造に貢献するという。
もし、ある分野から全く別の分野に移っても、その経験がムダになることはない。
最後にもう一つ。
専門特化は、少しも悪いことではない。
程度の差はあっても、みんなどこかの時点で専門を決める。
私がこのテーマに関心を持ったのは、ソーシャルメディアの記事からカンファレンスの基調講演までが、早めの専門特化こそがうまく生きるためのコツであり、様々な経験や実験という「無駄な時間」の削減になると訴えていたからだ。
あちこちに寄り道をしながら考え、実験する方が、特に不確実性の高い現代では力の源になる。
ヘッドスタートは過剰評価されている。
最高裁判判事のオリバー・ウェンデル・ホルムズは、アイディアを自由に交わし合うことについて1世紀ほど前にこう書いている。
「それは実験である。人生すべてが実験であるように」
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いかがでしょうか?
今あなたが何歳であろうときっと考える価値があることだと思います。
もちろん、お子さんやお孫さんにとってはより一層重要になってくるはず。
今日の話があなたにとって少しでも役に立てば嬉しいです♪
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