『一枚もの』

2016/04/19
writer：山崎拓
- ストール

この場合、何て呼ぶ？

うーん、普通は「一点もの」だよね？

でも厳密には一枚じゃないじゃん？

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昔、まだストール専門店を始めて間もない頃。

ある言葉の定義で悩んだ時期がありました。
（悩んだといっても本当にちょっとだけですが　笑）

というのも、
あなたもご存知の通り、僕らのストールは全て枚数限定の商品になっています。

僕自身、もともと量産されている
他の人と同じ服を着るのが好きでなかったということもあり、
起業当初から本当に納得できる厳選した商品を扱う、
ということをひとつのこだわりとして持っています。

ただ、実際の現場でこのこだわりを貫いていくとき、
業界の状況を見ていくうちに、
ちょっとした矛盾が生まれたんです。

それは、「一枚しかないストール」をどう呼ぶか？
ということ。

あなたは、そんなの「一点もの」でいいじゃん。
と思うかもしれません。

実際、この業界では皆「一点もの」と呼んでいます。

でも、この「一枚しかないストール」というのは状況によって変わってくるのです。

例えば、・・・
全て手仕事のストールは存在自体が一枚のみになります。
ハンドメイドなので全く同じものをつくることは不可能。
この場合は「一点もの」と呼べます。

問題は次のような場合。

生産自体は複数枚あるけれど、入手できたのは一枚のみという場合。
（うちの場合、このパターンが多いです）

例えば、買い付けをしていると、とても素晴らしいデザインに出会うことがあります。ただ、そんなデザインは人気があるので他のバイヤーに取られてしまったり
優先的に海外用として輸出されてしまうことが多くあります。

で、運良く手に入ったのが一枚という状況。

これは厳密には世界を見渡せば、同じデザインが存在することになります。
（同じものを手に入れるのはかなり困難ですが^^;）

なので、「一点もの」と呼ぶのには抵抗を覚えました。

ここには一枚しかないけど、一点とは違うよね？
みたいな感じです。

でも同業や業界的には皆、一点もの、一点ものと言っている。
そういった状況にも違和感を感じ、
僕らは自分たちで言葉を定義することにしました。

それが「一枚もの」という言葉です。

しっかりリサーチしましたが、これはストール関連では初めての言葉です笑
（googleで検索しても全然違う内容が出てきます）

今でこそ、当店のお客さんには通じますし、
お客さんの方から「一枚もの」という言葉を聞くことが多くなりましたが、
当時はよく「一枚ものって何？」と聞かれました　笑

そして、まだまだ一般的ではない言葉なので、
僕らのお店を利用していただく方には
しっかりとこの違いを認識していていただきたいと思っています。

何こまけーこと言ってるんだ、
と思われるかもしれませんが　笑

わりと大事なことだと思っています。

一点ものというと、過度に希少性を高く感じてしまいます。

もちろん販売する側にとってはその方が良いでしょうが、
事実とは異なることを伝えてしまっていることになります。

もっとストレートな言い方をすると、
売れやすいから嘘をつく
ということになります。

実際、一点ものではない商品に対して、
一点ものと謳って販売している業者がいるのも事実。

（嘘つけ！！本当のこと言えよ！
と心の中で思っています　笑）

個人的には業界のこの部分を正していきたいとも思います。

なので僕らは世界に一枚しかないものを「一点もの」。
世界を見渡せば複数枚あるけれど、
僕らが一枚しか手に入れられなかったものは「一枚もの」として
お客さんに伝えています。

まだまだこの狭いコニュニティーの中だけしか通じない言葉です。

いつか近い将来、「一枚もの」という言葉が
業界のスタンダードなものになるように活動していきたいな〜と思います^^

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Profile

山崎拓

1982年長野県生まれ。安曇野市在住。
Natural Lounge代表、ストールコンシェルジュ。
３児の父。
天然繊維100%ストールが大好きでほぼ一年中巻いている。
趣味が仕事で、休みより仕事をしているほうが楽しく落ち着くという仕事大好き人間。
情熱がある分野はビジネスや健康、教育関連。
好きなことは読書、Mr.Childrenの音楽鑑賞、家族サービス、旅行。
肌に直接身につけるものはもちろん、食べ物や生活スタイル全般を出来るだけ健康的で自然に沿ったものにできるよう日々自分自身でも様々なことを試し、顧客にもその効用を伝えている。