インドの楽園

2016/08/23
writer： Moto
- ストール
- 買付や原産国について

インド・デリーから

おはようございます。
Natural LoungeのMotoです。

以前お話しした
今回行くことのできなかったカシミールについて
今朝はお話ししたいと思います。

カシミールってどんな場所なの？
と言われると、僕たちストール愛好家としては
歴史あるストールの産地と答えたい場所です・・・が

あなたもご存じのように
最近はパキスタンと中国との領土争いの方が
日本では目立ってしまっています。
カシミールが紛争地域になってしまったのはここ数十年。
カシミールストールの歴史は何百年以上。

16世紀には貿易品として
ヨーロッパに輸出されていたと言いますから
もう何代前の人たちから続いているのか数えるのも難しい程です。

おじいちゃんの、ひいおじいちゃんの・・・笑

こんな大切な文化が残る地域なのに
たった数十年の領土の問題で危険な場所とイメージされてしまうのが
カシミールストール好きとしてはとても悲しく思います。

平常時でも街中に治安部隊はいますが
ここ数年は比較的治安は安定していて
夏になると避暑地として多くのインド人観光客が訪れていました。
日本でいう軽井沢みたいな感じです。
なので、僕もここ数年は毎年のように訪れることができていたんですね。

カシミールはインドの北部にありますが
他からの侵入を拒むように深い山々に囲まれていて、
陸路でカシミールを目指すには
どこから行こうとしても山道、
そして悪路を乗り越えていかなくてはいけません。

冬は事故で多くの人が亡くなると聞いているので
ビビリの僕は常に飛行機で現地を訪れますが
それだけ僕たち外国人が容易に行ける場所ではありません。

これだけ聞くとわざわざそんな場所行く必要あるの？
とあなたも思うと思いますが　笑
実際に現地に行くと
そこはインド人がパラダイスというだけあって
大自然に囲まれ、花々が咲き、たくさんの鳥たちが空を飛んでいる
とても静かで美しい場所です。

一度行くと虜になるやつですね。笑
そして、目的の手織り職人や刺繍職人の工房は
街の中心から更に離れた村の中にあります。

車もほとんど通らない
春になると菜の花に囲まれる村の中に
職人の家兼工房があるのですが
その一室で彼らはストール作りをしています。

手元を窓から入ってくる自然の光で照らしながら、
鳥の鳴き声しか聞こえない豊かな空間で
黙々と手織り機に向かう職人、
そして一刺し一刺し細かい刺繍を施す職人。

代々受け継がれているであろう木製の機織り機に座って
一本一本緯糸を通す職人を見ていると
何百年も前にタイムスリップしたかのような感覚になります。

こうして思い出しながら書いているだけで
澄んだ気持ちになります。

本当は今回も写真や動画を撮って
現地の風景をあなたにも見ていただきたいのですが
行くことができなくなってしまい本当に残念です。

日本と同様、カシミールも後継者問題は深刻で
実際に職人を訪ねても大抵僕よりも年上の人たちばかりです。
若者はストール作りに携わっていたとしても
機械織りやミシン刺繍などより生産性のある方に就きます。

あと、何年こんな素敵なストールが手に入るんだろう。

手織りや手刺繍のストールを見る度に
こういう気持ちになるのですが
実際にインドで買付をしていても
クオリティーの高いものにはなかなか出会うことはできません。

今回もまだ1枚しか出会っていませんしね・・・苦笑

今後もどれだけ出会えるか正直分かりませんが
1枚でも素敵なストールと出会って
あなたにご紹介できたらいいなと思います。

今年はもうカシミールには行けそうにありませんが
また職人たちを訪ねていけることを楽しみに
これからもやっていきたいと思います。

それでは今日も1日頑張りましょう！

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Profile

Moto

1983年長野県生まれ。木曽在住。
Natural Lounge副代表、バイヤー。
気がつけばストールの奥深さに魅了され、世界中のストールを探している。
様々な国のストールを扱う中で、誰が、どんな場所で、どのように作っているのか、
現地訪問し生産者と直接対話して買付をするのがモットー。
特にインド人、イタリア人との相性は抜群。

趣味は地元である木曽で、キノコ採りや山菜採り、渓流釣りをして四季を満喫すること。
20代、30代と海外の様々な場所を訪れた経験から、今は地元に魅力を感じ地域の活動にも力を入れている。
あなたがつい”クスッ”と笑ってリラックスできるようなブログをお届けしたいと思っています。