程よいシャリ感と涼感があり、春夏に大活躍する素材です。
使えば使うほど肌に馴染むように柔らかくなり、風合いの変化を楽しめるのもリネンストールの大きな魅力♪
また、人によっては春夏だけでなく、一年を通じてリネンストールを愛用している方もいらっしゃるかもしれません。
一方で、リネンストールはいろいろな種類があり、本当に品質の優れた一枚を手に取るのが難しい素材の一つでもあります。
というのも、実は一言にリネンストールと言ってもその本当の意味を理解して扱っているお店は少なく、日本では「麻」と「リネン」を混同して使っていることが多くあります。
「麻ストール」と呼ばれるものの中には肌に引っかかり、チクチクしたり、肌を傷つけてしまうものもあるんですよね・・・
もしかしたらあなたも過去に麻ストールで失敗した経験があるかもしれません。
特に首は体の中でも敏感な部位ですから、麻とリネンの違いを知らないで購入してしまうと着け心地が悪く、不快な思いをしてしまう可能性も高くなります。
麻ストールとリネンストールの違いは?
実は「麻」はリネンを含めて、植物の茎(または葉脈)からとれる繊維をまとめて呼ぶ言葉です。
「麻」と呼ばれるストールには、原料の草によってフラックスから作られるリネン(亜麻)だけでなく、いろいろな種類があります。
例えば、ヘンプ(大麻)、ジュート(黄麻)、ラミー(苧麻)など。
ですが、現在は家庭用品質表示法で、日本国内に流通する生地の中で、「麻」という表示が正式に許されているのは、リネン(亜麻)とラミー(苧麻)の二つに限られているんですね。
外国製のものなら、linen(英語)、lin(フランス語)などの表示から、フラックスが原料の生地・リネンとはっきりわかるのに、日本の「麻」という表示はややこしくなっています。そのため、お店の店員さんを含め、麻ストール=リネンストールと勘違いしてしまっている方が多いのが現状です。
さらに「麻」という言葉がリネンとラミーだけに定着しているとも言えず、ジュートで作られているものも普通に「麻」と呼ばれたりますし、ヘンプを単に「麻」と呼ばれることもよくあります。
日本でも、現在、服地やストールに使われる「麻」としてはリネンは最高級の位置付けです。
「麻はかたい」「チクチクする」「しわになる」というイメージがありますが、それはリネンストール以外の麻ストールです。本当の上質なリネン100%ストールであればやわらかくてなめらかですし、紙を折ったようなひどいしわにはなりません。
同じ「麻」表記でも、使えば使うほどその肌触りや使用感が全く違ってくるんですね。
またリネンは丈夫で洗濯にも強い素材です。何度も洗えますし、使えば使うほどまるで皮革が馴染むように一層やわらかい風合いになり、肌にもより馴染んでいきます。
本当の麻ストール、リネンストールがどのようなものか理解しておけば、身に着けた時にチクチクしたり、不快な思いをすることはありません。そればかりか、何年も長い期間、愛着を持って使うことができます。
そんな上質なリネンを古代の人々は「月光で織られた生地」と称えたほどです。
その美しさと心地よさは何年も人々を魅了し続けています。
このページでは、そんなリネンストールの特徴とメリット・デメリット、そしてどんな服やどんなスタイルに合わせればいいか、オススメの巻き方、さらにお手入れについて、わかりやすく解説しています。
これを読めば、リネンストールをあなたのファッションに上手に取り入れることができるようになるはずです。
少し長い記事になってしまいますが、ぜひ最後までご覧になっていただき、あなたの日々のストールファッションに役立てていただけばと思います。
1.リネンストールの欠点
リネンストールは優れた特徴がたくさんありますが、買ってから後悔しないためにも、まずはいくつかのデメリットを知っておくことも大切です。
摩擦によって白っぽくなる
長く使っていたり、頻繁にお洗濯をしていると、摩擦の受けやすい場所が白っぽく色あせることがあります。これをフィブリル化といいます。リネンは表層の下に「フィブリル層」という部分があります。ここが摩擦によってめくれ上がってしまうために、白っぽく見える現象です。
フィブリル化は使っているとどうしても起こる現象ですが、扱い方によってその進行を遅らせることができます。
取り扱う時に過度な摩擦を避けることがポイントになります。無理やりバッグに押し込んだり、洗濯機でガンガン洗い過ぎないようにします。扱う時は丁寧に、お洗濯はできるだけ手洗いをする、などを意識するだけでかなり白化を抑えることができます。
リネンのお洗濯の方法 も参考にしてみてください。
また、一見欠点に見える白化も見方によっては利点になります。白化が進むと革製品のいろいろな部分が擦れて色が薄くなったり、ジーンズが洗いによって程よい色落ちをしてくるように、リネンストールもまるでヴィンテージ品のように程よい白味を帯びるようになります。
それによって生地の透け感もより強調され、軽やかで爽やかなリネンストールの特徴がより活きてきます。
少しずつ風合いや色合いが変化してくることで、自分だけの一枚、という感覚が芽生え、より愛着を持ってリネンストールを使えるようになるはずです。
シワになりやすい
リネンは強度がある代わりに伸張性が低く、生地の復元力が弱くなっています。そのため、表面のシワがよりやすくなります。
リネンの場合はむしろこの「シワ感」がナチュラルな雰囲気を出してくれるため、ファッションの一部と捉えることができれば利点とも言える特徴です。
また、リネンのシワは軽くアイロンをかけてあげるだけで簡単に整うので、お手入れも簡単です。
端の糸がほつれることがある
これはリネンストールに限ったことではありませんが、先端が断ち切りのストール(高級ストールに多い)は、摩擦や引っかかりなどにより、稀に端の糸がほつれてくることがあります。リネンストールは糸が比較的太いものが多く、多少ほつれやすいというデメリットがあります。
糸がほつれた場合は、丁寧に処理してあげることで綺麗で整った状態に戻すことができます。(こちらについては後で詳しく解説しています)
また、使い続けることで、先端の糸同士が程よく絡まり、糸が抜けてくることはほとんどなくなります。
細かい繊維が出やすい
リネン素材は使いはじめに細かい繊維が出ることがあります。
衣類やバッグ、室内に繊維のクズが溜まることがあるので、びっくりしてしまうこともあるかもしれません。
ですが、これは使っていくうちに自然になくなっていきます。
初めて手にした場合には、屋外で軽く払ってあげたり、一度手洗いをして使用すると、かなり繊維を除去することができます。
また、お洗濯をする場合は、他の衣類と一緒に洗わずにリネンストール単体で洗ってあげることで他の衣類への繊維付着を防ぐことができます。
2.リネンストールの優れた5つの利点
1.使うほどやわらかくなっていく
上質リネンの生地は、繊維が細く、先端が丸くなっているので肌への摩擦が少なくなっています。肌にやさしく、デリケートな首周りでもチクチクせずとってもやわらかです。さらに使い続けることで肌馴染みが良くなり、より快適な着け心地になっていきます。
大抵の場合、購入直後が一番ハリとコシがあるのでボリュームも大きくなります。使えば使うほどやわらかくなり、ボリュームも落ち、ほっそりとしたシルエットになっていきます。
2.夏でもサラッと爽やか
リネンは適度なハリとコシがあり、サラッとした爽やかな涼感があります。熱の伝わるスピードも早く、外に熱を発散してくれます。そのため、真夏でも涼しく快適に身につけることができます。
吸水性は綿の4倍あり、速乾性も優れているので、水分や汗を素早く吸い取り、発散してくれます。蒸れにくく、暑い夏も汗でベタつき不快な思いをすることはありません。
3.いつでも清潔な状態を保てる
リネンは天然繊維の中で最も汚れが落ちやすく洗濯にも強い素材です。何度も洗えますし、その上、使うたびに柔らかくなっていきます。清潔さを保ち、長く使うことができる優れたストールです。
抗菌性、防カビ性にも優れているので雑菌の繁殖を抑えてくれます。一年中清潔で爽やか、匂いを気にすることもありません。
4.軽くて爽やか
リネンは透け感のある薄い生地でとても軽くなっています。その軽さは身につけていることさえ忘れてしまうほどです。
透け感のある生地はファッションに軽やかで爽やかな印象も与えてくれます。
5.長い間愛着を持って使える
リネンストールは使っていくとナチュラルなシワ感が出てきます。そして使えば使うほど皮革が馴染むような独自の風合いになり、肌にもより馴染んでいきます。天然繊維の中でも強度が強いので、毛羽立ちにくく長持ちします。
さらに使いこんでいくとわずかに白味を帯び、まるでヴィンテージ品のような表情になっていきます。飽きがこないので、長い間愛着を持って使うことができます。
リネンストールの最適な活用方法
リネンストールはナチュラルな風合いと程よいシワ感があるので、カジュアルファッション、リラックススタイルとの相性が抜群です。
シンプルなTシャツ、ジーンズなど、誰でも一枚は持っている洋服も一巻きで印象が大きく変わります。
もちろんストールはファッションのアクセントとしての役割が多いので、これらのスタイル以外にも幅広く使うことができます。
サイズによる使い分け
リネンストールには大きく分けて2種類のサイズがあります。
この違いも知っているとより上手に使いこなせるようになります。
大判サイズ
最も一般的で、汎用性が高いサイズ感。
縦の長さが185cm、横幅が65cmのものがベーシックなサイズになります。
大判サイズは日常のお洒落はもちろん、日除け、室内の冷房対策にも使いやすく、巻きだけでなく羽織でも活用しやすくなっています。
もちろん、折り畳めばとても小さくまとまり、バックに入れることもできるので、持ち運びにも便利です。
また、リネンは使えば使うほど肌になじむ特性があるため、初めは少しボリュームが大きいと感じるサイズ感でも、使い込むことでほっそりとシルエットが変化していきます。そのため、サイズに迷った場合は、まずは大判サイズから試していただくのがおすすめです。
ミドルサイズ
大判サイズよりもひと回り小さなサイズ感がミドルサイズになります。
縦の長さが180cm、横幅が55cm前後が多くなります。
幅、長さともに、少し短くなるので、使い込む前からボリュームが抑えることができ、スッキリとシャープにまとめることができます。
また、背が低く、大判のストールだと取り扱いにくい、という方や、より手軽に身につけたい、という場合にはミドルサイズがとても使いやすいはずです。
リネンストールと相性のよい巻き方:7選
リネンストールと相性のよい巻き方を7つご紹介します。
どれも覚えてしまえばすぐに使いこなせる便利な巻き方です。
1.エディター巻き
春夏のシンプルなトップスであれば、ゆるっと一巻きるだけで十分なアクセントになります。ナチュラルな風合いなので、エディター巻きのようにきっちり結びすぎない巻き方もオススメです。
なによりも、とても簡単にファッションに取り入れることができるのがポイントです。
エディター巻きでリネンストールをさらにおしゃれに見せる方法
単純なエディター巻きでも十分使えますが、よりこなれた雰囲気を作るポイントを紹介します。
1.フリンジの両端どちらかを縦に持ち上げます。(長手方向に持ちます)
2.その状態でエディター巻きをすると、先端部分が細く長く、立体感を作ることができます。
とても簡単ですが、おしゃれでこなれた雰囲気を作ることができます。
2.ひと結び巻き
アクセントとしてリネンストールを使いたい場合にオススメの巻き方です。
首元が空くので、暑くて直接肌に身に付けたくない場合に便利です。
シャツの襟を立てて、裾に沿うように合わせるのも良いでしょう。
意図的にIラインを作れるのでほっそりとした印象になります。
3.ミラノ巻き
多くのストールと相性が良いミラノ巻き。もちろんリネンストールも例外ではありません。
首元の日よけにも使いやすく、一度締めれば緩むことなく長い時間スタイリングをキープできるのも嬉しいポイントです。
ダブルクロス巻き
ミラノ巻きに近いシルエットですが、よりほっそりとまとまり、見た目も暑苦しくないので、日よけ兼お洒落にとても重宝します。
ネクタイ巻き
アクセサリー感覚で使いたいときに最適な巻き方の一つ。首元に空間が開くので暑苦しくなく、「ひと結び巻き」よりもさらにシャープでスッキリとした印象を作り出すことができます。
トップスを羽織っている場合は、トップスの裾にストールのフリンジを合わせてあげるとバランスが良くお洒落です。
6.ディレクター巻き
ふんわり感とシャープのバランスが絶妙な巻き方です♪
首元に少し余裕を持たせておしゃれな印象を作り出したい時に特に重宝します!
7.コンパクトループ巻き
ストールをコンパクトにまとめたい時に使いやすい巻き方です。
しばらく使い込み、ボリュームが落ちたリネンストールとの相性が特に良い巻き方になります♪
リネンストールのお手入れ
リネンは気軽に自宅でお洗濯ができるストールです。
ここではいくつか日常のお手入れのポイントをお話しします。
1.使用後は陰干しに
使った後はホコリや花粉を払い、ハンガーにかけて陰干しします。
その時に軽く風に当ててあげると匂いや小さなホコリも取り除けます。
(自然の風はもちろん、扇風機の風当てもとても効果があります)
しっかり休ませるなら、半日ほど干します。
2.手洗いが安心
リネンは洗濯に強く、自宅で気軽に洗うことができます。
ポイントは40度以下のぬるま湯か水で手洗いすることです。
洗濯機でも洗えますが、強く回しすぎると摩擦で表面が白化(フィブリル化)してしまいます。できる限り丁寧に手洗いするのがよいでしょう。
洗剤は中性洗剤を使い、つけ洗いをします。
より詳しい内容については素材別の洗濯方法 をご覧ください。
3.シワが気になる場合はアイロンをかける
リネンはお洗濯をするとシワができます。
それ自体がナチュラルな雰囲気を出してくれるため、リネンの良さの一つですが、どうしても気になるという場合はアイロンをかけます。
ポイントは設定温度を180〜210度にし、当て布をしてスチームを使うことです。
シワが取れにくい場合は霧吹きで表面に水分を浸透させてからアイロンをかけると簡単にシワが取れます。
リネンシャツなどと違い、リネンストールは複雑な縫い目や折り目がないので簡単にシワを伸ばすことができます。なので、シワが気になる方でも安心して使うことができます。
4.端の糸がほつれたきた時の処理
フリンジが断ち切りでの加工になっている場合、摩擦や引っ掛けにより横糸が抜けてくることがあります。(高級ストールやカシミアなど、フリンジ糸が細く総仕様にできないストールに多い)
その場合の処理は以下の順番で横糸を抜きます。
1.ほつれてきている糸を右端、もしくは左端まで追っていきます。
2.一番端の目立たない部分でその一本だけハサミを使って丁寧に切断します。
3.切断した糸を指でゆっくりと引っ張ります。
これでほつれた糸がキレイに抜けます。
繊細なストールの場合、どうしてもフリンジが断ち切り仕様になっていることが多く、横糸が抜けて来ることがありますが、落ち着いて処理すれば問題ありません。
使えば使うほど次第に横糸は抜けにくくなっていきます。
より具体的で詳しいお手入れについては【 断ち切りフリンジ 】ほつれの直しかたをご覧ください。
リネンストールの取り扱いのコツ
リネンストールが一番活躍するのは、やはり春夏です。屋外で活動する時には日よけとして、屋内や電車やバスなどの公共移動手段を使う時には冷房対策として使えます。夏の日焼けは特に女性にとっては天敵です。また、屋内と屋外の急な温度変化で体調を崩してしまうこともあります。これらを予防する意味でもリネンストールを一枚持っているととても重宝します。
真夏はどうしても汗をかいてしまうことが多いですが、涼感があり、お洗濯も強いリネンストールは機能性でも非常に優れていると言えます。
さらに、夏はファッションも淡白になりがちです。
装いのアクセントとしても、美容の面からも、体調管理の観点からもリネンストールをあなたのファッションに取り入れてみてはいかがでしょうか?
ストール専門店Natural Loungeは人の肌に優しい肌触りの優れた天然繊維100%ストールのみ取り揃えている日本で唯一の天然繊維100%ストール専門店です。
もちろん、リネンストールに関しても肌当たりが良く、使えば使うほどよりやわらかくなっていく高品質なものを厳選して取り扱っています。
当店のストールは全て枚数限定、そのほとんどは希少な「一枚もの」「一点もの」です、他にはないデザインのリネンストールがたくさんありますので、よろしければこの機会にご覧ください。
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この記事を読んでもちょっとリネンストールを試してみるのは不安・・・ という方もいらっしゃると思います。
そんな方には元々はリネンストールに苦手意識を持たれていた実際のお客さん達のエピソードもとても参考になると思うので、よろしければこちらもご覧ください。
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参考文献:
アパレル素材の知識 著者:一見輝彦
繊維の種類と加工が一番わかる 著者:日本技術者センター
リネンが好き 著者:前田まゆみ