ストールにはどんな素材があるの?

素材ごとの特徴は?

どうやって使い分ければいいの?




あなたはこんな疑問はありませんか?


衣類と同じようにストールの素材もさまざまなものが使われています。それぞれの素材の特徴を知らないと選ぶことは難しくなります。また、特徴が違えば、使い心地や使う場面も変わってきます。特にストールは肌に直接触れるものですから、それぞれの特徴とその効果を知っておくことはとても重要です。


ここではストールの代表的な素材の特徴とそのメリットデメリットについて分かりやすく解説しています。これを知ることで、素材を見てあなたが使いたい場面で適切なストールを使うことができるようになります。そしてストールだけでなく他の衣類やファッションを選んだり、スタイリングするときにも役に立つはずです。


僕自身もこれらのことを知るまではデザインだけで服を選んでいましたが、今はインナーなど肌に直接触れるものは肌に優しい素材を選び、アウターなどは防寒性や強度に優れた素材を選ぶなど、使う場面によって使い分けられるようになりました。


あなたのストール選びの参考にしていただければ嬉しいです!




1.ストールに使われる素材


1-1.繊維素材の重要性







欧米では衣類を購入するときに、デザインを重視し、素材についてはあまり関心を示さないと言われていますが、日本では素材の種類が何か?ということに相当の重点が置かれています。例えば、シルクと合成繊維のドレスでは、いかに合繊のドレスのデザインが良く、虫が食わない、水洗いができる、などの特徴があっても、合繊というだけでシルクよりもはるかに低価格になります。


また、同じ合繊でもレギュラーな繊維よりも特化された新しい繊維のものは高く評価されます。日本のこのような素材重視の傾向は、質実剛健、保守的、原価意識、まじめ、の国民性によるものだとも言われています。


さらに、衣類のドレープ性、張り、コシの良さ、色の鮮やかさなどの美的な面も素材の特性によって左右されます。

そしてもちろんデザインや美しさや感触などの感性を求めることだけでなく、着心地の良さ、シワがよらない、虫に食われない、カビがつかないなどの使いやすさなどの機能性も重要です。


素材によってこのようなさまざまな違いがあり、それはストールそのものに大きく影響してきます。つまり、あなたがストールを使う用途によって、選ぶべき素材は変わってくるのです。



1-2.天然繊維と化学繊維



素材を大きく分けると、天然繊維と化学繊維に分けられます。

表1.繊維の分類


1-2-1.天然繊維



天然繊維には綿(コットン)、麻(リネン)の植物繊維と絹(シルク)、羊毛(ウール)などの動物繊維があります。ストールになってからの取扱いやすさでは、機能性の優れている合成繊維の方が優位ですが、ストールは感覚的評価のウェイトが大きいので、天然繊維の「自然の良さ」や「なじみ」が人々を引きつけています。

この天然繊維の好みの傾向は欧米に比べ、日本においては特に強くなっています。これは日本人の保守性と、本物志向の強さのためだと考えられています。



1-2-2.化学繊維



【再生繊維】

再生繊維は合成繊維と合わせて、アメリカやイギリスではMan made
fiber、「人造繊維」といわれますが、日本、ドイツ、フランスなどではChemical Fiber「化学繊維」という言葉が使われます。

再生繊維というのは原料が植物繊維素、すなわちセルロースであり、これを再び繊維にすることから来ています。

再生繊維にはレーヨン、キュプラ、リヨセルなどがあります。日本では1918年にレーヨンの製造が始まってから、戦後、合成繊維がでるまで、特に戦前、戦中は衣料素材として大きな役割を果たしました。最近ではレーヨンの一種であるモダールがストール素材として多く使われています。


・ビスコース(レーヨン)

木材パルプを化学処理し、アルカリ水溶液に溶解して作られる再生繊維です。
ビスコースは吸湿性は高いですが、強度が低く、さらに水を吸収した場合の強度が通常の50〜60%となり、貼り、コシがなくだらっとした感じになります。


・モダール

レーヨンと同じ木材パルプを原料としています。
本質はレーヨンと同じ繊維ですが、レーヨンに比べてしなやさとソフトな風合いが特徴です。
レーヨンは乾いている時よりも濡れた時の方が強度が弱くなりますが、モダールは強度はそれほど落ちません。またレーヨンはお洗濯によって収縮が大きいですが、モダールはレーヨンに比べれば収縮が小さくなっています。






【合成繊維】

合成繊維は、米国のカローザスが合成した高分子によるナイロンを発明したのが始まりです。それ以来、急激に高分子化学が発展し、次々と高分子による新しい合成繊維が生まれるようになりました。

その中でも生産量が多く普遍的に使われているのは3大合成繊維といわれるポリエステル、アクリル、レーヨンです。

衣料用途で合成繊維の使用量は全繊維中で50%を超えています。中でもポリエステルは全繊維の中で最も多くなっています。

合成繊維が急激に生産量を増やしたのは、天然繊維のように季節によって収穫に変動がなく、つねに計画した数量が生産できること、価格が安いことがあげられます。


・ナイロン

ナイロンはアメリカが工業化された世界初の合成繊維です。「石炭と水と空気から作られ、鉄のように強く、クモの糸より細い繊維」として売り出されました。

その性質は比較的やわらかく。強度が強く、特に摩擦に強いということがあります。
また、天然繊維には及びませんが、衣料用合成繊維の中では高い吸湿性があります。
ただし、紫外線に当たると、徐々に黄変するという欠点があります。



・ポリエステル

ナイロンよりも10年ほど遅れてイギリスで生まれた繊維です。飲料用ペットボトルと同じ素材やその仲間からできています。現在では天然繊維である綿よりも生産量が多く、世界中で最も生産されている繊維です。

ポリエステルは強度が高く、コストが安いので、多くの衣料品に使われています。
ただし、染色性があまりよくなく、吸湿性が低く、やや肌触りが硬いという欠点があります。



・アクリル

アクリル繊維は1950年頃から工業化され、溶剤を溶かして糸を作っています。
アクリルはしなやかな風合い、保温性の良さなどが特徴で、ウール分野の利用が多くなっています。

また染色性がよく、日光にも強くなっています。






2.天然繊維の種類と特徴


2-1.綿(コットン)






綿は5000年ほど前から、古代インドや南米ペルーなどで栽培されており、これが西洋に伝えられました。

綿はアオイ科の植物でいろいろな種類がありますが、繊維として最も大量に使われているのは、アップランド綿と呼ばれるものです。

綿は主としてその長さで区別されています。綿繊維が長いほど細い糸ができ、風合いもやわらかく、密度の細かな高級品が得られます。


表2.世界6大超長綿(繊維長の長い順)



綿は繊維の長さが36mm以上のものを超長綿と呼び、各原産国の地名はブランド化されています。



2-1-1.綿(コットン)の特徴、利点と欠点



【綿の利点】

・ 肌触りが良く快適

綿は繊維の先が丸くなっているので肌触りがよく、やわらかい着け心地です。さらに静電気も起きにくく、快適です。


・ 秋・春は暖か、夏は涼しい

綿は繊維の中が空間になっています。そのため、空気を含み、熱伝導率が下がるので熱が外に放出されにくくなります。秋や春先の気温であれば十分に暖かさを維持できます。

吸湿性が高く、内部の水分を発散してくれます。水分を発散するときに気化熱を奪い、肌に触れる部分の温度が下がります。通気性も良いので夏はサラッと爽やかに過ごせます。さらに吸水性が非常に高く、汗をかいてもすぐに吸い取ってくれるので夏の暑い時期も綿は大活躍します。


・ 洗濯もでき、長く使える

綿は濡れると強度が15%〜20%上がります。石鹸やアルカリ洗剤を使っても問題ありません。何度も洗濯し、繰り返し使える素材としてとても優れています。



【綿の欠点】

・ 洗濯で縮む、シワになりやすい


濡れて膨張した後に乾いて縮んでしまいます。
欠点を補うために形態安定性の良いポリエステルと混ぜたり、薬品で処理をして形態安定性を保ったりすることもあります。




綿(コットン)100%ストールについてより詳しい内容を知りたい方はコットンストールの利点と欠点、活用方法のすべてをご覧ください。




2-2.麻






古代エジプトのミイラが、麻で作られた白い布に包まれていたことで知られていますが、麻は非常に古くから織物として利用されてきました。

麻の種類は植物の芯や葉から採取され、数多くの種類があります。その種類は繊維の取れる部位から、靭皮繊維と葉脈繊維に分けられます。靭皮というのは茎の表皮の内側にある部分で、良質な繊維束を含んでいます。代表的な靭皮繊維として、亜麻(フラックス、リネン)、苧麻(ラミー)、大麻などがあります。

ちなみに日本の家庭用品質表示法では、「麻」と表示できるのは、亜麻と苧麻に限定されています。



2-2-1.麻の特徴、利点と欠点



【麻の利点】

・ 涼感があり、サラッと爽やか

天然繊維中で最もシャリ感があり、肌にベタつかずサラッと爽やかです。そして一番の利点は接触冷感、清涼感があるのでひんやりとした肌ざわりで夏に最適です。さらに綿と同様、繊維の先が丸くなっているのでさわり心地も優れています。


・ 汗をかいてもベタつかず快適

水分の吸収、発散性に優れているので汗をかいてもベタつかず快適に過ごせます。熱伝統率も高いので涼感がよく、いつも爽やかに過ごせます。

・ 繰り返し洗濯して長く使える

麻は水に濡れると乾燥時よりも6倍も強度が増します。さらに汚れも落ちやすいので、何度洗濯をしても問題ありません。そのため、とても長く使うことができます。



【麻の欠点】


・ 摩擦されると白化しやすい

摩擦の受けやすい場所が白っぽく色あせることがあります。これをフィブリル化といいます。植物繊維は表層の下に「フィブリル層」という部分があります。ここが摩擦によってめくれ上がってしまうために、白っぽく見える現象です。


・ シワになりやすい

麻は強度がある代わりに伸張性が低く、生地の復元力が弱くなっています。そのため、表面のシワがよりやすくなります。ただし、麻の場合はむしろこの「シワ感」が独自の雰囲気を出してくれるため、ファッションの一部と捉えることができればある意味では利点とも言える特徴です。




麻(リネン)100%ストールについてより詳しい内容を知りたい方はリネンストールの利点と欠点、最適な活用方法をご覧ください。

麻(リネン)ストール一覧はこちらです。




2-3.絹(シルク)






古く紀元前前の中国で養蚕が始められ、製法は門外不出とされていましたが、絹の製品はいわゆるシルクロードを通じて西洋にも運ばれ、珍重されました。

絹は昔から繊維の中で最も美しいものとされており、ヨーロッパでは、絹1匁(3.75g)は黄金1匁と交換されたと言われています。

綿、羊毛、麻などの他の天然繊維と異なり、連続した長繊維(フィラメント)が主体になっています。

絹はあらゆる繊維の中で最も優雅でしかも美しい色相に染まり、感性面で非常に優れた繊維です。合成繊維のお手本は天然繊維ですが、その中でも絹は古代から珍重された優雅で美しい繊維であるため、多くの合成繊維は、絹を目標として技術開発が進められてきました。



2-3-1.絹の特徴、利点と欠点



【絹の利点】

・ 肌触りが非常に良い

シルクは人間の肌と同じタンパク質で構成されているので、第二の肌と言われます。そのため、人間の肌ととても相性が良く、しっとりとしたなめらかな極上の肌触りです。


・ 優雅で品の良い光沢と美しいドレープ性がある

シルクは繊維の女王と言われるほど、あらゆる繊維の中で最も優雅な光沢があり、発色も非常に良い素材です。またドレープ性も美しいので、フォーマルな場面でとても活躍します。


・ 通年使うことができる

シルクは吸湿性、保湿性、吸水性、放湿性に優れている素材で、代表的な通年素材です。夏は汗をかいても吸湿性が優れているので余分な水分はすぐに外に放出してくれます。そのため、いつもサラッと爽やかに過ごせます。冬は保湿性が効果を発揮します。シルクの中に閉じ込められた気泡が断熱効果を発揮するので冬はとても暖かです。夏は爽やか、冬は暖かの万能素材です。


・紫外線を吸収してくれる

蚕は紫外線を浴びると成長できなくなってしまいます。そのため、繭が紫外線を吸収して蚕の成長を助けるのです。その機能が絹には備わっているので、外出時の日焼け防止にも効果的です。



【絹の欠点】

・ 価格が高い

シルクは希少素材のため価格が高い繊維です。そのため、絹で作られたストールは価格が高くなりがちです。


・ 摩擦に弱い

絹は繊細な素材なので摩擦に弱く、フィブリル化し外観を損ねやすくなっています。


・ 紫外線や日光で変色してしまう

紫外線から守ってくれる代わりに、絹自体が紫外線を吸収するため、長時間日光に当たっていると黄色く変色してしまいます。

・ お手入れに正しい知識が必要

洗濯ができず、虫にも食われやすいので正しいお手入れが必要です。洗濯機でサッと洗うことができないので管理が大変です。




絹(シルク)100%ストールについての詳しい内容を知りたい方はシルクストールの利点と欠点、最適な活用方法をごらんください。

絹(シルク)100%ストール一覧はこちらです。




2-4.羊毛(ウール)







牧羊は、紀元前8000年くらい前までさかのぼることができ、メソポタミアが発祥のようです。日本には幕末の頃に伝わってきた比較的新しい天然繊維です。動物の毛は、硬くてまっすぐな刺毛と、やわらかく縮れた産毛からなっています。繊維として利用されるのは産毛ですが、羊は長い年月をかけて、産毛だけになるよう品種改良されてきました。

羊の種類はいろいろありますが、最も一般的なのはメリノ種です。





2-4-1.羊毛の特徴、利点と欠点




【羊毛の利点】

・ とっても暖かい
羊毛は天然繊維の中で、最も吸湿性の高い素材です。また、吸湿すると発熱するので、保温性に優れた素材でもあります。雪山に遭難したときに「ウールの肌着を身につけているかどうかで生死が分かれる」と言われるほどです。


・ ムレにくく爽やか
吸湿性は綿の約2倍、ポリエステルの約40倍。汗をかいてもムレたりジメジメしたりせず、サラッと爽やかに過ごせます。


・ 綺麗で清潔で快適
天然繊維100%のウールは静電気が発生しにくいので、快適です。そのためチリやゴミも付きにくくクリーンです。さらに撥水性に優れているので小雨などは弾いてよせつけません。そのため汚れにくい優れた素材です。


・ 抗菌、防臭効果がある
ウールには人間や動物の皮膚と同じようにウィルスや細菌に対する免疫機能があります。菌の繁殖や嫌な臭いがつきにくく、長く使うことができます。



【羊毛の欠点】

・ 価格が高い
ウールは希少素材のため価格が高い繊維です。ウールの中でもグレードがいくつもあり、その中でも最高グレードのメリノウールのスーパーファインウールは高価になっています。シルクと並び、価格が高い素材です。


・ お手入れが大変
水で洗い、摩擦を加えてしまうとフェルト化という、繊維同士が絡み合いくっついてしまいます。また、ドライクリーニングを推奨されている素材ですが、クリーニングによっては風合いが変わってしまうこともあります。正しい知識を持っていないとお手入れが大変です。


・ 低級ウールはチクチクする
ウールはグレードによって風合いが大きく変わります。低級ウールは繊維が太く肌身に触れるとチクチクする感触があり、人によっては全く受け付けられないものになってしまいます。ですが、最高グレードになると風合いが全く変わり、とてもしなやかでやわらかい肌触りになります。





ウールストールについてより詳しく知りたい方はウールストールの利点と欠点、最適な活用方法をごらんください。

羊毛100%ストールはこちらです。





画像提供:www.preorganic.com
dream7511.exblog.jp
wanosuteki.jp
参考サイト:http://www.woolmark.jp/tokucho/02.html



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