〜はじめに〜
ストール専門店Natural Loungeはこれまでインドからストールを輸入してきました。
そしてNatural Loungeをスタートして8年が経ち、新たなストールを求めて2019年ヨーロッパ、イタリアへ向かいました。
これまでのインド買付同様私たちは自分達の足で現地へ行き生産者や工場、お店を訪ねます。
実際にストール作りに携わる生産者と直接会話をすることで、あなたにご紹介するストールが誰の手で、そしてどのような環境で作られているのかを自分達の目で確認する事が目的です。
直接現地へ行く事で本やインターネットには載っていない活きた情報も手に入れる事ができます。
その経験から得た知識や情報をこの買付日記を通じて少しでもあなたに知って頂きたいと思いこの記事を書くことにしました。
〜なぜイタリアへ〜
冒頭でもお話ししたように、私たちはお店を始めてからずっとインドストールを取り扱ってきました。
生産者を訪ねて時には気温が50度近くなる場所へ行き、また時には標高5000mの山岳地帯も定期的に訪問しています。
こうして生産者を訪ねてインド全土をまわることで、インドストールの奥深さを自分達の目で確かめてきました。
もちろんこれからも素晴らしいストールを求めてインドへ行くことは変わりませんが、自分達の見聞を広げるためにも今回ヨーロッパのストールの産地であるイタリアへ行くことに決めました。
見聞を広げるなんて、僕にしてはそれらしいことを言っていますが、スパイスの"効きすぎた"インド料理と距離を置きたいと思ったのも本音です。笑
インドでカレー食べてます!!というのもキャッチーですが、やっぱりアパレルに携わる人間として、イタリアでジェラート食べてます!と1度はブログに書いてみたいんですよね。笑
なんて冗談や本音も交えつつ、今日はまず初めてイタリア訪問した時の様子とともに記事を書き進めていきたいと思います。
伝統的な機織り技術を用いながら世界のストールを生産しているインド、そして常に最先端のファッションを世界へ発信し続けているイタリアの魅力をNatural Loungeだからこそ見ることのできる視点、角度から追っていきたいと思います。
〜イタリアファッションについて〜
イタリアといえば言わずと知れたファッションの国。
グッチ、プラダ、ジョルジオ・アルマーニなどブランド名を挙げ始めたらきりがありません。
そしてもちろんその全てはイタリア製。
ブランドはもちろん、それを着こなすお洒落なイタリア人のイメージは多くの人が持っているはずです。
それは裏を返せば伝統あるイタリアの服飾文化を支える技術力のある職人がそれだけ多くいるという事。
彼らなくしてイタリアファッションは成り立ちません。
常に世界のファッションの最先端をリードし続ける彼らがどのようなストールを生み出すのか。
インドで長年ストール生産者と向き合ってきた僕らにとって、それはとても興味深く新鮮で今後ストール専門店を続けて行く上で知らなくてはいけない、そう思いました。
〜初めてのイタリア訪問〜
こうして2019年秋、初めてイタリアを訪問しました。
気持ちはインドへ行った2009年と同じように、まさに0からのスタート。
知り合いがいる訳でもなく、まずは現地へ行くことにしました。
そして降り立ったのはイタリアのミラノ。
街全体が中世を思わせるような景観で、街を歩く人たちもお洒落な人ばかり。
初めてのイタリアは期待を全く裏切りませんでした。
今回私たちはファッションウィークに合わせてミラノへきましたが、その目的はミラノに集まる生産者を探すため。
到着した時そもそも生産者に出会えるかもわかりませんでしたが期待を胸に街を歩きます。
なんのアテもなく現地へ行くなんて・・・
とうい声も聞こえてきそうですが、それがNatural Loungeの買付スタイル。
インドもこうしてゼロからスタートして今の素晴らしい生産者と出会ってきたんですよね。
きっとイタリアでも素敵な出会いがあるはず。
ファッションウィークで盛り上がるミラノの街を眺めながら、これから何度も訪れるであろう街を眺めます。
そして到着した翌日。
早速今回の目的の1つでもある展示会へ足を運びました。
〜憧れの存在との出会い〜
どんな生産者と出会えるのか、期待を胸に展示会会場へ。
会場の周りは既に世界各国のバイヤーが集まり、ミラノファッションウィークの注目度の高さがわかります。
これまで日本やインドの展示会に何度も行きましたが、会場の雰囲気や各ブースのディスプレーのセンスがこれまで訪れたどんな展示会よりも優れていると入った瞬間感じます。
洋服、バッグ、靴、洗練されたアイテムが並び、どのブースも生産者とバイヤーの商談で盛り上がりを見せていました。
そんな光景を目の当たりしただけで自然と気持ちが高ぶります。
そして待ちに待った念願のイタリア生産者との出会いがありました。
始めに出会ったのはフィレンツェの生産者。
爽やかな色合いのデザインで、まさに春夏に巻きたくなるようなストールを扱っていました。
今回は生産者の情報を集めることが目的なので話を聞いて様々な生産者を訪ねます。
そして次に出会ったのが日本でも知られているストールブランド、ファリエロ・サルティ。
ファリエロサルティも1949年にフィレンツェで創業したアルマーニやシャネルなどへ服地を提供してきた高級テキスタイルメーカー。
そんな会社が1992年からストールを作り始め今では世界的に有名なストールブランドになっています。
ファリエロサルティは家族経営のブランドですが、オーナーのロベルトさんとまさかの初対面。
ストールのほとんどはイタリアで作られていますが、今回話を聞いたところ一部の刺繍はインドの生産者にオーダーして作ってもらっているものもあるそうなんです。
(これにはちょっと驚きました)
イタリアのストールの良いところ、そしてインドの良いところを融合させてより良いストールを生み出したいんだと話をしてくれました。
今回僕らのイタリア訪問の目的の一つは、インドストールとイタリアストールの比較。
実際にストールも見せてもらいましたが、まさかミラノで我らがインドの刺繍と再会するとは思ってもいませんでした。
ただそれはインドの織物技術に惚れて、そしてずっとその魅力を発信し続けてきた僕らにとって嬉しい瞬間でもありました。
ちなみにファリエロ・サルティはストールバイヤーをしてきた僕にとって雲の上のような存在。
ずっと憧れてきた人に出会えた一生忘れることのない時間となりました。
しかもインドストールとイタリアストールについて話ができる日が来るなんて。涙
写真に写っている表情なんて僕自身見たことがないほど充実した良い顔していますからね。笑
またミラノに来たらいつでもおいでよ!とロベルトに言ってもらったので、これからも遠慮なくお邪魔しようと思います。
(遠慮をしないところも僕らの強みですから。笑)
そんな訳で、何のあてもなく来た初めてのイタリア訪問。
予想外の展開に序盤から僕の気持ちも高ぶります。
〜イタリアでも存在感があるmade in India〜
ファリエロ・サルティでインドストールについて話をしたことは書いた通りですが、実はこの後何度も展示会会場でインドストールを見かけることになります。
その多くはストールブランドやストール生産者のブースではなく、ファッションブランドの小物としてストールを数点扱っているようなブランドでした。
会場内でストールを1枚でも置いてあるブースには全て立ち寄りましたが、そこである事に気が付いたんですよね。
あれ?この風合いはもしかして・・・。
そしてタグを見てみると、そこにはmade in Indiaの表記がありました。
何だろうこの安心感。笑
長年インド生産者と付き合って来たなかで、彼らがフランスやイタリア、ドイツなどヨーロッパのブランドと仕事をしていることは知っていました。
ただ実際にそれを現地で見かける日が来るなんて。涙
そこで、実際にインドストールを取り扱っているブースでインドストールの魅力について聞いてみました。
すると夏素材の生地が優れているという答えが多く聞かれたんですよね。
Natural Loungeでもインドのリネンやコットンの素材を使った織物の技術について触れてきましたが、それはここイタリアでも評価されていました。
その土地にあった服飾の文化がインドにはある。
高温多湿な地域ではその暑さを耐えるために先人たちが知恵を絞って生み出した織物技術があります。
ヨーロッパのような年間を通じて比較的涼しい地域では、そうしたインドの服飾文化が評価されているのだと実感する機会となりました。
〜インドで見たことのないストール
せっかくミラノへ行っているのに、なぜかインドストール目線で見てしまいがちなNatural loungeバイヤーの僕。笑
インドストール対イタリアストールではないんだ!!
と自分に言い聞かせて冷静にそれぞれのストールをこれまでの経験から比較していきます。
(10年以上インドストールの魅力追いかけてきた人間なのでついインド寄りになってしまうんですよね。笑)
そしていくつかイタリアストール生産者のストールを見ているうちに、インドではまず触れることのないクオリティーの素材のストールに出会いました。
それがシルク素材のストールです。
「Silk」
インドにもシルク素材のストールはありますが、イタリアで生産された薄手のシルクストールの品質の高さには正直驚かされました。
番手の細いシルク糸で滑らかに織られたシルク生地。
Natural Loungeで扱うインド製のシルク製品は基本的にジャカード機で織り込まれた比較的厚みのあるストールです。
ただ、品質が良い平織や綾織で薄く織られたストールをインドでこれまで見たことがありません。
そうした中で出会った高品質の薄手シルクストール。
インドでもこうしてカシミール地方のカシミヤ手織手刺繍ストールや、ベンガル地方のジャムダニ織と出会ってきたんですよね。
その時もバイヤーとして気持ちが高ぶりましたが、同じ感覚を今回も覚えました。
そしてそれはイタリア買付の方向性が見えてきた瞬間でもありました。
〜シルクストールの産地「COMO」〜
様々なストールと出会う中でシルクストールに惹かれた僕はストールの産地を探すことにしました。
展示会にはイタリア各地から生産者が集まってきていてその地域もバラバラ。
今回出会ったのもフィレンツェやベルガモ、ヴィチェンツァなど様々でした。
ただその中でもシルク製品が際立っていた産地がありました。それがコモです。
「COMO」
もしかしたらあなたも知っている街かもしれません。
イタリア北西部に位置するコモには美しいコモ湖があり、古くから避暑地として、そして観光地として知られている街です。
首都のミラノからも電車で1時間ほどで行ける場所にあります。
自然豊かなその場所で古くから街の産業として発展してきたのがテキスタイルでした。
その中で特に優れているのがシルク製品。
ヨーロッパの80%近いシルク製品がコモで作られているまさにイタリアだけではなく、ヨーロッパの一大産地です。
そしてその品質は世界最高水準。
ヨーロッパの服飾文化を長く支えてきた歴史と技術がコモにはあります。
〜初めの一歩〜
そんなコモの生産者で今回特に惹かれたのが、まるで学級委員長のように真面目なオーナーが生産をてがけるテキスタイル会社でした。
Natural Loungeでは取引をする生産者を決めるときに大切にしていることがあります。
それは取引先の人柄や雰囲気です。
これは国が変わっても同じ。
日本でもインドでも、そしてイタリアでも変わりません。
もちろん僕らだけが決めるわけではなくて、生産者側にもこいつと仕事がしたい!と思ってもらうことが理想です。
そしてそのためには、現地を訪問して何度も直接会ってお互いを知っていくことが大切だと考えています。
インドでもゼロからこうして信頼関係を築いてきました。
(出会っていきなり取引を決めたことは今までないんですよね)
そして必ずそんな生産者と出会った時、最初に伝える言葉があるんです。
また必ず会いにきます。
僕たちの名前はNatural loungeです。
覚えておいてください。
これを伝えて今までうまくいかなかった取引先はないですかね。笑
今回もそんな運命的なものを感じた出会いとなりました。
次につながるコモの生産者との出会い。 これは今回の最大の収穫でした。
〜まとめ〜
いかがしたか?
こうして様々なイタリアストール、そして生産者と出会うことができた初めてのイタリア訪問。
何もないところからのスタートでしたが充実したものとなりました。
やはりシルク製品の品質には驚かされました。
こんなストールあるんだ・・・!
この驚き、ワクワクがバイヤーとしての醍醐味なんですよね。
そして、インドストールを長年扱ってきた僕らだからこその比較をすることができたのも今回の収穫です。
記事中でインドストール対イタリアストールなんて冗談で書きましたが、それぞれの魅力に気づくことができたのも実際に現地を訪問したからこそ。
世界中のストールを扱うきっかけを今回のイタリアで見つけることができたと思います。
今回は生産者と出会うことを目的とした訪問でしたが、次回訪問時は実際に生産者の工房を訪ねてどのような環境でストールが織られているのがチェックしていきたいと思います。 その様子もこの買付日記でお届けしていきますので楽しみにしていてください♪
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※2019年初めての訪問直後、コロナが広がり現地へ行くことができなくなってしまいました。
その後直接行くことはできませんでしたが、生産者と何回も連絡をとりコミュニケーションを重ねた結果、2021年以降コモ製シルクストールの取り扱いを開始しています。
商品はオンラインショップでご覧いただけますので、ぜひチェックしてみてください。
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